脇汗が多いと洋服に汗じみができたり、汗の臭いが気になったりと、困ってしまう場面が少なくありません。自分のためだけでなく、エチケットのためにも脇汗対策は重要です。しかし、脇汗について誰かに相談するのは恥ずかしく、ひとりで悩んでいる人もいるでしょう。そこで、脇汗が多くなってしまう原因やワキガとの違い、脇汗を抑えるための対策などを紹介します。
気が付くと汗染みが!脇汗が多くなる原因
脇汗が多くなってしまう原因は、もともとの体質だけでなく、気候や精神状態などさまざまな要因が考えられます。気温が高いときや運動をしたあとに大量の汗が出るのは、汗を出すことにより熱を体外へ逃がし、体温が上がりすぎないよう調節するためです。このようなしくみを「温熱性発汗」や「運動性発汗」と呼びます。このときに出る汗は「エクリン腺」という汗腺から分泌される汗で、ほとんど臭いがありません。そのため、大量に汗をかいたとしても、必ずしも汗臭くなってしまうとはかぎりません。
もうひとつの原因は、緊張や不安など、精神的なストレスです。人はストレスを感じると交感神経が活発になり、手足や脇から汗をかきやすくなります。このような現象を「精神性発汗」と呼びます。ストレスが原因で出る汗は「アポクリン腺」という汗腺から分泌される汗です。アポクリン腺から出る汗はエクリン腺から出る汗とは違って粘り気があり、独特の臭いがします。脇汗が多くなったと感じたら、緊張状態を強いられることや、強いストレスを感じるような出来事がなかったか振り返ってみましょう。
このほかにも、単純に人よりも汗腺が多かったり、ホルモンバランスの乱れにより自律神経がコントロールできなかったりなどの要因も考えられます。特に女性の場合は、生理中や妊娠中、更年期にホルモンバランスが崩れ、大量の脇汗をかいてしまうことが多い傾向です。
知っておこう!脇汗とワキガは違う
ワキガ体質の人は特に脇から強い臭いがするため、脇汗が多い人はワキガであると勘違いされてしまうことがあります。しかし、脇汗をかきやすいからといって、必ずしもワキガであるとはかぎりません。脇汗とはエクリン腺から出る汗で、成分はほとんどが水分と塩分です。そのため、ほとんど臭いはなく、すぐに拭き取れば臭くなることはありません。もちろん、汗をかいたまま拭かずに放置したり、汗が染みこんだ洋服や靴を放置したりすれば臭いはします。しかし、いわゆる「汗臭い」臭いであり、ワキガのような独特な刺激がある臭いではありません。
ワキガの原因となる臭いは、アポクリン汗腺から分泌される汗です。アポクリン汗腺から出る汗には水分だけでなく、脂質やタンパク質、アンモニアなどの成分も含まれるため、にごった見た目をしています。乳白色の場合もあり、触るとベタベタするのが特徴です。さらに、皮膚に住む常在菌や細菌が、汗に含まれる成分を分解する過程で、独特の臭いが発生します。この臭いは汗が蒸発するとともに発散され、脇だけではなく全身が臭っているように感じられてしまうのです。
脇汗とワキガを見極める方法
自分の体臭は自覚しにくいため、「自分がワキガなのか」「単純に脇汗が多いだけなのか」がわからない人も多いでしょう。そこで、ワキガと多汗症を見極めるポイントを紹介します。まず、緊張しやすい人やあがり症の人は脇汗をかきやすい傾向です。ただし、汗が多くなるのは、交感神経が活発になっている間だけなので、ストレスがなくなれば汗は引いてしまいます。また、南国に住んでいた経験がある人や、南国出身の人も汗をかきやすいです。熱い地域に生まれた人は、環境に適応するために全身の汗腺が多く、汗腺そのものも太くなりやすい傾向があります。そのため、脇だけでなく全身の発汗量が多いことも珍しくありません。
一方、ワキガの人は生まれた場所や気候よりも、親の体質が重要です。両親のどちらかひとりだけでもワキガなら、ワキガ体質である可能性が高くなります。ワキガは遺伝しやすく、両親のどちらかがワキガなら50%、どちらもワキガなら80%の確率で遺伝するといわれています。また、白いシャツやブラウスの襟元や、下着の腰の部分などもチェックしてみましょう。もしも黄ばみや黒ずみができていたら、ワキガの疑いがあります。ワキガの原因であるアポクリン腺から出る汗は、さまざまな成分が含まれているため、布地に付着すると色素沈着を起こしやすいのです。
汗が出るのを抑えたい!対策方法とは
手軽にできる脇汗対策としては、制汗スプレーやクリームを使う方法が挙げられます。ドラッグストアや薬局でも制汗アイテムは販売されているので、欲しいと思ったときにいつでも手に入る点も大きなメリットです。ただし、脇汗が多すぎる場合や、こまめに塗り直す時間がない場合は、スプレータイプよりも密着力の高いクリームタイプのほうが向いています。
制汗アイテムを選ぶ際は、配合されている成分に注目しましょう。フェノールスルホン酸亜鉛という成分には毛穴を引き締め、汗を抑制する作用があります。できるだけ汗の量を減らしたいのであれば、フェノールスルホン酸亜鉛を使った製品を選びましょう。さらに、汗の量だけでなく臭いも気になるという場合は、シメン5オールという成分が含まれた製品がおすすめです。シメン5オールとはニキビケア用の化粧品にも含まれる、強い殺菌作用を持った成分です。皮膚の表面に付いた細菌や余分な皮脂を殺菌、分解し、雑菌と汗が結び付くのを防いでくれます。「チュラリア」ならフェノールスルホン酸亜鉛とシメン5オールだけでなく、4種類の天然成分も配合されているので、肌がデリケートな人でも使用可能です。
ワキガかも知れない!効果的な治療法はある?
重度のワキガ体質の場合、レーザーで汗腺を焼き切ったり、手術でアポクリン汗腺を取り除いたりする方法をとらないと症状を緩和できない場合もあります。汗腺そのものを大幅に減らせるので、臭いがなくなるのはもちろん、汗の量も少なくなるでしょう。ただし、汗腺が残ってしまう場合もあり、手術をすれば必ずしもワキガが治るという保証はありません。しかも、ワキガの手術には高額な費用が必要なうえ、やけどや合併症を引き起こすおそれがあります。また、傷口の回復には時間がかかり、手術あとが残ってしまうリスクもゼロではありません。そのため、ワキガの疑いがあるとしても、いきなり手術に踏み出すのではなく、まずは制汗アイテムでの対策がおすすめです。