記事の監修者プロフィール
いなばクリニック 院長
耳鼻咽喉科・皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科、美容外科
稲葉 岳也(イナバ タケヤ)
いつのまにかできてしまった、首のぶつぶつ。触ったときにざらざらしますし、ぶつぶつが目立つと老けた印象につながります。中には年だから仕方ないと諦めてしまっている人もいるかもしれません。しかし、適切なケアを行うことできれいな肌に戻ることができるのです。ここでは、首にできたぶつぶつの原因や治し方について紹介します。
首にできるぶつぶつは老人性のイボが多い
イボにはいくつかの種類があり、中にはウイルス性のものもありますが、首にできるイボはほとんどが老人性です。「脂漏性角化症(しろうせいかくかしょう)」や「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」と呼ばれるもので、加齢と共に増加したり、大きくなったりするのが一般的です。50歳くらいから発症するといわれていますが、若い人にもできることがあります。肌と同じ色の場合もあれば、黒ずんでいることもあり、形も小さなぶつぶつから大きく隆起しているものまで、さまざまです。
さらに、これらの老人性イボは成長した大きさによって4つに分けられます。もっとも小さいものはアクロコルドンと呼ばれています。突起はほとんどなく、ニキビのような小さなぶつぶつがたくさんできるのが特徴です。アクロコルドンと同じくらいの大きさで、少し突起があるものはスキンダックと呼ばれます。アクロコルドンのようにたくさんできるものではなく、ゆっくり大きくなっていくのが特徴です。たくさんできたアクロコルドンの中に、一部スキンダックが混ざっている場合もあります。これら2つよりもさらに大きくなると軟性線維腫(なんせいせんいしゅ)と呼ばれるようになります。大きいものでは1センチを超えることもあり、突起も大きくなるので、目立ちやすくなるでしょう。また、さらに大きくなったものは懸垂性線維腫(けんすいせいせんいしゅ)と呼ばれています。イボの突起も大きくなって垂れ下がってくるため、このように呼ばれます。
老人性のイボができる4つの原因
老人性のイボができる原因は主に4つあります。1つ目は、老人性と呼ばれる通り、加齢です。加齢に伴って新陳代謝が悪くなると、メラニン色素を排出しきれなくなります。さらに免疫力も低下するため、肌に受けたダメージを回復させる力が弱くなり、結果としてイボができやすくなるのです。
また、肌を摩擦したり刺激を与えたりすることもイボができる原因です。特に首は、衣類による摩擦が起こりやすく、あまり洗濯していないマフラーやストールを巻くことが原因になることもあります。ネックレスやワイシャツの襟などにも注意が必要です。
さらに、肥満がイボの原因であるともいわれています。肌がたるむことで肌同士がこすれ合い、角質化につながるからです。肥満の人はそうではない人に比べて新陳代謝が低いこともイボの原因になっているでしょう。
そして、老人性のイボの原因として最も大きいのは紫外線です。長時間紫外線を浴びるとシミができ、それがイボに変わるといわれています。そのため、イボの原因に加齢が含まれているのは、紫外線を浴びた時間が長いことと関係しています。紫外線を浴びると肌のターンオーバーが落ち、ダメージが蓄積されていくため、日常的に対策を行うと良いでしょう。
老人性の首のイボをケアする方法
老人性の首のイボは、肌のケアを行うことで対策できます。まずは、加齢や摩擦などによって乾燥し、硬くなった肌を柔らかくするため、クリームで保湿しましょう。肌の水分量が適切に保たれていれば、摩擦のダメージを和らげることもでき、ターンオーバーも行われるのでイボができにくくなります。
また、中には首のイボ専用の化粧品もあるので、イボが気になる人は利用してみましょう。その中でも特におすすめなのがわらびはだというオールインワンジェルです。潤いのある肌に欠かせないヒアルロン酸に加えて、イボ取りの民間療法に用いられているハトムギ種子エキスも含まれているのが特徴です。オールインワンなので手間もかかりませんし、実際にイボに効果があったという口コミがたくさん寄せられています。無添加で肌に優しく、全身に使用できるので、お風呂上りの子どもに使ったりひげそり後の保湿ケアとして使ったりもできます。
首のイボが気になるなら、紫外線対策も欠かせません。日頃から日焼け止めクリームを塗ったり、日傘をさしたりして紫外線を防ぎましょう。若いうちから毎日対策を行うことで肌へのダメージを防ぐことができ、年を重ねてもイボができにくくなります。日焼け止めはこまめに塗り直すよう心がけ、冬の曇っている日でも忘れずに紫外線対策を行いましょう。
ウイルス性のイボかも!病院で治療を受けよう
首にできるイボはほとんどが老人性ですが、首にできた小さな傷からウイルスが入り、ウイルス性のイボになることがあります。ウイルス性のイボが疑われる場合は、病院での治療をおすすめします。老人性のイボとは違い、悪化する可能性だけでなく、触った人が感染する可能性があるからです。このようなケアではウイルスを完全に取り除くことが困難であるため、必ず病院に行って治療を受けましょう。
皮膚科で行われる首のイボの除去手術には、いくつかの方法があります。最も簡単な方法は、医療用のハサミで切除するものです。痛みはほとんどなく、傷も1週間程度で治ります。ただし、くれぐれも自分で切除することはやめましょう。傷が残ったり、悪化したりする可能性があります。また、レーザーで切除するという方法もあります。皮膚の水分に反応する炭酸ガスレーザーを使用する治療法です。治療期間が短い上に、あとを残すことなくきれいにイボを取り除くことができます。しかしながら、この方法は保険適用外なので、費用が高額になってしまう点がデメリットです。
一方、保険適用となるのが液体窒素で冷凍凝固して切除する方法です。イボを凍らせて低温やけどの状態にし、組織を破壊することで除去します。保険が適用されるので費用が安く、多くの皮膚科で行われている切除法ですが、こちらにもデメリットはあります。それは、低温やけどの状態にするために痛みを伴うことと、何回か治療を繰り返す必要があることです。また、イボの治療後、皮膚に色素沈着が残ってしまいます。色素沈着が気になる場合は、別に治療をするか、あらかじめレーザーでの切除を選んだ方が良いでしょう。
稲葉 岳也(イナバ タケヤ)
いなばクリニック 院長
耳鼻咽喉科・皮膚科・アレルギー科・美容皮膚科、美容外科
・日本耳鼻咽喉科学会専門医 ・日本レーザー医学会認定医
・日本アレルギー学会専門医
【略歴】
・慈恵医大卒
・慈恵医大附属病院、聖路加国際病院で勤務
・医学博士